なお、この文章は昨年12月に載ったものですが、今堀が暖め続けたものです(いいわけ)。
自分の思いを言葉にして・・・
3年間の高校生活が終わろうとしている。人間関係のこじれから、前の高校をやめた私は、2つ遅れて北星余市に入学した。友達はもういらないと思っていた。全ての人間を嫌って、全てのことに無関心だった私に、親はもう一度青春を味わわせてあげたいと言った。その親も思いにも無関心で3年間を空しく過ごしていくんだろうと思っていた。人との関わりを避けて通ってきた私は、途中で逃げ出すかもしれないとさえ思っていた。
北星余市に入ってから、人との関わりが増えた。友達も何人かできて、信頼できる先生も見つけた。人間との関わりが増えると、みんなの悩みも見えた。つらいのは自分だけではないんだと思えた。些細なことでケンカをする時だってある。つらくて涙が流れることだってあった。だけど、人は話せばわかり合える。言葉を持っているから。私は、いつの間にか、友達を大切だと思えるようになり、物事にも、関心を示せるようになっていた。
そんなとき、先生に読書感想文を書いてみないかと声をかけられた。私は、本を読むのが好きだ。本は読んでいるといろんなことを考えられるから。時には落ち込んでいる自分を励ましてくれ、時には、臆病な自分に勇気をくれたりする。そして文字を書くことが好きな私は、読書感想文を書いてみたいと思った。たくさん持っている愛読書の中から一冊選んで、改めてじっくり読み、感想文に挑んだ。と言っても、読んだ感想を書けばいいだけ、何も気取ることはない。気取る前に、私は、自分の気持ちを言葉にするのが苦手なので、、思ったことを書いた。
後日、私は、賞を取って表彰された。うれしくなって親に賞状を送ったら、喜んでくれた。徐々に思いを言葉にできるようになっていった。だから、読書感想文を書いたことは、自分を変えてくれた大切な宝物だ。そして、何より、親には感謝してもしきれない。たくさんの宝物を与えてくれた親には、これから、少しずつ何かを返していこうと思う。北星余市を卒業したら、私は二十歳になる。まずは、両親に「ありがとう」の言葉を返そうと思う。